損保ジャパン・アセットマネジメントの木谷徹シニア・インベストメント・マネージャーは「先週からの二極化相場で主導していた国際優良株は海外連動性が強い銘柄。きょう、あすはインテルや米生産者物価指数などミクロ・マクロ両面で重要な発表が相次ぐことから、利益確定売りが出やすい状況」と話していた。
日経平均株価の終値は81円17銭(0.5%)安の1万6611円59銭、TOPIXは8.10ポイント(0.5%)安の1637.95。東証1部の売買高は概算で15 億2730万株。値上がり銘柄数559、値下がり銘柄数1024。
東証業種別33指数の騰落状況では、値上がり業種が9、値下がり業種が 24となっている。値上がり率上位は鉱業、パルプ・紙、不動産、卸売業など。半面、値下がり率上位は空運、輸送用機器、保険、情報・通信など。
インテルなどの米決算に関心 国内では19日のHOYA、20日のKDDIや東京製鉄などを皮切りに、中間決算発表が始まるが、米国ではひと足先に17日から7-9月業績の発表が本格化する。17日はインテルやIBM、モトローラ、ヤフーなどハイテク関連の主要企業が多い。
丸三証券の牛尾貴投資情報部長は、「市場予想を下回ったアルコアや予想と一致したゼネラル・エレクトリックの動きが相場全体に波及していないところを見ると、よほど決算が悪くない限り失望にはならないだろう。ハイテクの内容が良好なら、ナスダック総合指数が年初来高値を更新する可能性もある」と予測。ただし、決算に対する市場の期待感も強いとし、「決算発表に手放しで楽観視もできないため、確認が必要」(牛尾氏)としていた。
また、きょうは米国で8月の生産者物価指数、18日には消費者物価指数や住宅着工戸数の重要指標も控えている。 損保ジャパンの木谷氏は、「決算発表では企業が10-12月以降の見通しをどう予測しているかがカギになる。ミクロとマクロの両面で悪い数字がそろわなければ、米国株は一段高もありえる」と見る。
円高傾向で輸出関連売り 16日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが円に対して下落、ここ2週間で最大の値下がりとなった。きょうの東京市場ではドル・円が一時1ドル= 118円台に入り、ユーロ・円は1ユーロ=149円10銭台にまで円高方向に触れた。為替の円安一服と原油高がともにマイナス材料となり、トヨタ自動車が 1.7%安と3日続落したのを始め、ホンダ、日産自動車など自動車各社が売られた。ソニーが5営業日ぶりに反落し、キヤノン、東芝、松下電器産業など電機株も軟調。
東洋証券の児玉克彦シニア・ストラテジストによると、「為替の円安一服や原油高が業績面に対するネガティブ要因となり、自動車など最近上昇が目立った銘柄・業種には利益確定売りが出た」という。
もっとも、9月日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)による大企業製造業の今期想定レートは1ドル=111円。輸出企業にとって水準的にはまだ余裕があり、下期業績に対する業績期待は根強い。売りのきっかけとはなったものの、前日までの上昇に比べると大きく売り込む向きも限定的だった。
情報・通信や空運・海運の下げ目立つ NTTが2%超の下げとなったのを始め、KDDI、ソフトバンクも安くなるなど通信株が安い。情報・通信株は午後の業種別値下がり率でトップとなった。メリルリンチ日本証券が投資判断を中立に下げたNTTデータも売り。 原油価格の上昇によるコスト懸念から日本航空などの空運株や商船三井などの海運株も下げた。
チャート面からは先高示唆との見方 一方、昨日は日経平均の13週移動平均線が26週移動平均線を下から突き抜ける「ゴールデン・クロス」が示現され、チャート面からは先高期待を助長させるシグナルが出た。
東洋証の児玉氏は、「13週線と26週線が交差して買いシグナルとされる『ゴールデン・クロス』となったのは、昨年8月以来のこと。その後の日経平均は年末まで約5000円幅の上昇となっており、今回も4月高値1万7563円奪回の可能性がある」としていた。 昨年8月中旬の日経平均株価は1万1600円台で、同年末には1万6400円台まで41%上昇した。
商社やCTC高い 一方、三菱商事や三井物産、住友商事など大手商社株がそろって上昇した。原油価格の落ち着きで資源株への見直し買いが入る中、好業績が評価されている。国際石油開発帝石ホールディングスなど鉱業株も上げた。日本製紙グループ本社やレンゴーなど円高が収益にメリットとなるパルプ・紙株も高い。
アドバンテストが年初来高値を更新したほか、日立国際電気、東京精密など半導体製造装置関連株が高い。サムスン電子が16日に半導体設備投資を増額すると発表したことで、業績期待が高まった。
このほか、情報通信や製造業向けのシステム販売が好調だった伊藤忠テクノソリューションズは大幅高となり、菓子や食品部門が順調で9月中間期の単独純利益を上方修正した江崎グリコは4.5%高。家庭用ガス販売量増加から07 年3月期中間期の連結純利益予想を増額した大阪ガスが小幅ながら3日続伸。
ジャスダックは小幅に3日続伸、マザーズは小反落 東証1部市場反落の影響もあり、戻り歩調にあった国内新興市場もやや上げ足が鈍った。ジャスダック指数は0.26ポイント(0.3%)高の86.93と小幅ながら3日続伸、大証ヘラクレス指数は10.11ポイント(0.5%)高の1897.84 と4日続伸となったものの、東証マザーズ指数は3.07ポイント(0.3%)安の 1178.26と4日ぶりに小反落。
野村証券金融経済研究所の元村正樹ストラテジストは、当面の新興市場について「10月半ばから11月初旬にかけては信用取引の整理が進むため、1カ月ぐらいは上値が重い展開が続こう。ただその後は、製造業中心に業績が上昇修正される可能性が高く、株価は反転するだろう」と見る。 元村氏によれば、現在のジャスダック市場のPERは来期予想ベースで17 倍程度で、20倍台まで買われるとすると、ジャスダック指数で100ポイントまでの戻りが見込めるという。
ジャスダック市場では、ジャストシステムが上昇率1位。米IBMと日本のソフトウエアメーカーとしては初の包括協業契約を締結したことが明らかになり、業容拡大期待でストップ高水準まで買われた。なお8万5000株超の買い注文を残す。 次世代映像信号用インターフェース技術の開発に成功したと発表したほか、映像データの伝送速度を従来比で4倍強にできるLSI(大規模集積回路)を開発したと17日付の日本経済新聞で報じられたザインエレクトロニクスも急伸。通期利益予想を増額修正したレディ薬局のほか、メイコー、レシップなども高い。ザインと社債インフォテインメント市場向けの共同プロモーションを行うアクセルも大幅高。
半面、ビックカメラが下落。16日に発表した06年8月期の利益水準が、会社計画を下回ったことが嫌気された。楽天やSBIイー・トレード証券、インデックス・ホールディングス、オプトの時価総額上位株もそろって下落。テレビCMの企画、製作を行うティー・ワイ・オーは、前週末の業績下方修正が引き続き警戒され、連日のストップ安(制限値幅いっぱいの下げ)。新規上場としては3社ぶりに初値が公開価格を上回った16日上場のJSCも、初値形成後の株価がさえずに安くなった。
大証ヘラクレスでは、ダヴィンチ・アドバイザーズ、アセットマネジャーズなど不動産関連株が高く、今8月期の連結業績は46%増収、経常19%増益を見込む三光ソフランも上げ幅を拡大。好業績と株式分割、記念配実施などが好感されたモーニングスターも急伸した。 半面、USENやアドバンスクリエイト、ガンホー、フィスコ、トレイダーズホールディングスなどが下落。
東証マザーズ市場の売買高上位では、サイバーエージェント、ミクシィ、日本M&Aセンター、ネットエイジグループ、ドリコムなどが下落。一方で、中間期業績を増額修正した物流不動産仲介会社の日本レップは上昇。総合医科学研究所、タカラバイオ、鉄人化計画などが高く、スカイパーフェクTV!で放送を開始することが決定したWOWOWは急伸した。
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